豆田町1

 写真は昨日のものですが、今日も陽気に誘われて、ウォーキングを兼ねて豆田町へ。

 桂林荘公園の桜もほころぶ陽気。梢が桜色になっているのがわかる。日本人はなんとなくウキウキしてくる。その昔、日本では桜の木の下で魂を鎮める儀式をしていたらしく、生と死が一体となったような、嬉しいような悲しいような気分になるのはそのせいか。

 桂林荘とは、幕末に「日田に咸宜園あり」と言われた私塾を開いた広瀬淡窓先生の初めての塾。この後少し違う場所に咸宜園を作った。「鋭きも鈍きも捨て難し」というのが根幹となる教育方針だった。偉いですよね。

豆田町2

 桜もいいんだけど、椿もいい。だいたい猫も杓子も桜を騒ぎすぎる。椿は首のまま落ちるので嫌う人もいるが、そういう奴に限って何もわかっていない。

 散るということは椿にはない。落ちるのである。こうやってポツンと落ちている姿がいいと思う。あれっ私いつのまにかこんなとこ来ちゃった、と当惑してるところがいい。なぜ茶人は椿を愛したか、なんとなくわかる気がする。

豆田町4

 買い物を終えて最後はいつもの模型屋へ。

 旅の大工さんのアカデミー1/48 T-33(プラッツ扱い)を見てきた。私、T-33は詳しくないけどアカデミー製はどうですかね。パーツは少なくて作りやすかったという話です。最近になく売れたらしい。

豆田町5

 こんなふうに壁掛けに仕立ててあった。面白いでしょ。

 模型屋「先日すっげーシブい人が来てバイク模型買っていったんですよ」
 きらら「えっ、どんな人?」
 模型屋「〇〇の大型バイクに乗ってて、体格もよくてレザーのつなぎを着こなして」
 きらら「うんうん」
 模型屋「仕事は建築設計関係で、仕事が終わるとお客さんに自分の作ったバイク模型をプレゼントするんだって」
 きらら「くくぅ~やることなすこと格好いいなぁ。幾つくらいの人?」
 模型屋「60代。息子さんもバイク乗りで、たまに二人でツーリング行くらしい、うらやましいですよ。それで、しゃべり方なんかすごく穏やかで、もう~シブいのなんのって。いい年齢の重ね方してるっていうか」
 きらら「うーむ・・・そういう人ってたぶん奥さんも美人だったりして、すべてが完璧なのよ」
 模型屋「そうですね、人生に成功した人というんですかね・・・」

 田舎町の小さな模型屋の平日午後四時頃、金も才能も成功からも程遠い中年の二人が、ううーむと唸りながら、何か他人に対する妬みはちっとも感じられず、ただ心が温かいのはなぜだろう。
 今ここでこうしていられることの幸せということを、知ったからじゃないだろうか。

豆田町6

 買ってきた小石原焼のぐい飲みで、すべてのシブいバイク乗りに乾杯。次回は模型屋お勧めのバイクを作ろう。
 酒は広島の「幻」 甘いねえ。ま、いいでしょ、自分に甘く、他人に辛く。