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 さて、業者日の夜はいつものメンバーと飲んだり前日搬入などいろいろあったのですが、その話はまとめて「なんちゃってJMCブース始末記」として最後に書くとして、ここからは5/12,13に行われた合同展での出会いをご紹介していきます。全体の紹介ではなく、私の大好きな作品をピンポイントでご紹介していきます。

 ここ数年、フレッチャーさんというアメリカ人の作品を楽しみにしてるんですが、彼のブース「押し入れモデラーズ倶楽部」に行って驚いた。もちろんフレッチャーさんの作品も素晴らしかったんだけど、いちばん端っこに飾られている桜花に、私の目はくぎ付けになってしまった。運命の出会い。

 これまで、正直、桜花を「いいなあ」と思ったことは一度もない。でもこの作品は違う、この塗装の雰囲気、大好き!! この色、私の色!! 心が共振する作品。
 白倉昴さん作品、「出撃」1/32HPH 桜花11型

 三度目にブースに訪ねていったときにようやくご本人とお会いできた。なんと、まだお若い方でした。

 素晴らしいですね、とお伝えしますと、「特攻機が好きなんです。格好いいと思います」
 と、いきなりストレートなご意見。
 真正面から、特攻機を格好いいと言われたのは初めて。ううむ。

 この桜を手にした人形はスクラッチとのこと。こういう写真があるそうです。お話しながら、桜の枝を手にして散っていった若者と、目の前にいる目元涼しげなもう一人の若者(作者)がダブって、涙が出そうになった。

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 同じ作者の、「出撃」隼三型甲 第53振武隊 近間光男少尉機 1/48ハセガワ

 この場面は誰かの作品で見たことがあるような気がしますが、整備兵が走っているのがいいよね。人形はたいていスクラッチされるそうです。もぅねー、上手い人はそういうところも作ってしまうんですよね。
 この作品もいい色してる。

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 そして飛燕丁型、第55振武隊 黒木國雄少尉機 1/32ハセガワ 

 この塗装は本で見たことがある気がします。ウロコみたいな迫力ある迷彩。非常に力強い雰囲気に仕上がってます。

 特攻機とは、自分の思いをぶつける、モチベーションをぶつけるに足るアイテムなのだ、と語ってくれました。

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 零戦21型 関行男大尉 1/32童友社 ここまで、白倉さん作品。

 童友社ですよ童友社。エエねぇ~。
 剥がれ表現は、ナントカいう(度忘れ)塗料で塗装したあと剥がして、再度描きこんだりもしているそうです。近寄ってみると、いかにも描いてるのがわかるんだけど、全体を見るといい雰囲気なの。これは絵を描くのと同じようなセンスなんでしょうかねぇ。絵を描いたことはないそうですが。汚くなりすぎず、単調にならず、その塩梅が絶妙。

 名刺を交換すると、「作品見せてください」と言われ、恥ずかしながら拙作フォッケウルフをお見せすると「自分より上手いですよ」とほめてくれました。ああー大分航空隊の彗星もってくればよかったなあ。けどともかく来年再会する楽しみができた。

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 そしてこちらはマイケル・フレッチャーさんのタミヤ1/48 飛燕

 アメリカ人とは思えない、日本人以上に日本人らしい日本機を作るフレッチャーさんの作品が大好き。だって、彼は米軍機より日本機のほうが上手いんだもん。

会場風景2
 会場風景。(押し入れモデラーズ倶楽部にて)


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 もう一人、作品を拝見するのが楽しみな、伊勢フライングビーナスの松月さん作品。1/32 ハセガワ 鍾馗。

 これまた優しくてイケメンな松月さんに似た美しい作品。
 外板は・・・エート(汗 塗装だけで再現されてるかと思ってましたが、実際に削ってから塗装されてるそうです。
 最近、ベコベコ表現に夢中なんです私。実際に彫り込んだりするとやりすぎの気がするんですよね、塗装で陰影つけるのが好き。

 ハッチオープンも、同じベクトルを感じます(←どんだけ広いベクトルかい!!
 エンジン後部などは自作とのこと。ああーこういうの真似してみたい。

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 同じ作者の隼。1/32ハセガワ。

 いやーっ、これも好き好き~、いぶし銀大好きだもん。しっかりした味の純米酒みたい。
 銀色にグレーを少し混ぜたそうです。銀はキラキラ光るのより私はこういうシブいのがいいなあ。カッチョいい。
 しかも凸モールドをそのまま作る会!! 全国で会員がじわじわと増えてます(違

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 富士ウイング8の大橋さん作品。1\48 ニチモ 九九式襲撃機

 終戦後のスクラップ機の写真を参考にされたとのことです。
 ボロボロなのに綺麗・・・・汗 性格でるよねー(ため息。

 ところで、帰ってきて写真みると、やっぱ日本機が多いんだよね。結局、私は日本機が好きなのかなあ。

会場風景3
 一応、合同展の合間にハセガワブースにも行ってみたけど・・・人混みかきわけかきわけ・・・嗚呼!! ついにジャンクパーツ売り場に到達できず。

 やむなく、これよりブースに帰投す。

会場風景4
 「なんちゃってJMCブース」
 なんかモデルアートの人が真剣に見てくれてる・・・うれしい。「面白い企画ですね」と褒めてくれたよ。

 年齢や性別、思想信条、さまざまな違いをこえて、我らここに集う。
 そして数え切れぬ作品の中から、ふっと自分の好きなものだけが見えてくる、その不思議。

 1/2700※の奇跡

 (※今回2700人余のモデラーが集った)