プラモデルの大きな楽しみの一つは、作り比べではないだろうか。最近そのことに気が付いたので自分でも少しずつ作り比べをやってるけれど、今回もやはり「作り比べて楽しんでいる人」がたくさんいたぜ!! さあ、どいつもこいつも、並べてみやがれ!!
 というわけで、まずはスカイホークの競作。

 松山エアモデラーズクラプ杉本さん作品、エッシー1/72 A-4Fスカイホーク。

 30年以上前の古いキットで胴体が細すぎる・・・と作品カードには書いてありましたが、古いキットもなんのその、美しく塗装すれば関係ない。
 「普通の人は作らないんでしょうけれど」と謙遜なさってましたが、作り比べてみたくなるのはモデラーのサガではないでしょうか。

 どちらかというと、「より新しいキット」「より改良されたものを」という方向に行くのがモデラーの主流ですが、古いものは古いものとして楽しむというのも、オトナ~!! だし、そもそもプラモはキットそのものを作ってるのはメーカーなので、自分一人で作ってるわけじゃないと思うんです。中には原型がわかんないくらい切り刻むという人もいるかもしれませんが、そういうことのできる人を除いて普通の人間はそのキットのパーツをいかに生かして作るか、というのがプラモデルの醍醐味だと思います。
 だからこうやって比較するのが意味があるし面白い。

 前縁スラットの取り付け位置も失敗、と正直に書いてありましたが、へえーそうなの←知らない



 同じ方の作品。ハセガワ1/48 A-4Eスカイホーク。
 比較とはいえ、こちらは48ですけど。ほかにはエアフィックスの72も作ってられました。
 繊細で綺麗な作風ですよね。きっと作業机の上もきれいに整頓してるんだろうな。

 部分的に合いが悪いところがあり繊細なモールドを潰すことがあって悲しかった・・・と書いてありました。そして最後に
 「ピッタリ組めた頃のハセガワはもうないのでしょうか」

 ・・・・・涙。
 いうなれば金型屋の問題だとは思うのですが、繊細なスジ彫りというのはピッタリ合ってることが前提になっているわけで、それが合わずに合わせ目を消すことになると、そこで苦労する。
 モデラー共の話を聞いていると、ハセガワ製品を作るときの苦労の筆頭のように感じます。

 こんなふうに並べている人もいました。
 ちょっとした土台を作って置いているだけで、見やすく作品が格好よくなるなあ、と思う。

 「トムキャッツ」というのは岩国所属の海兵隊311攻撃飛行隊のことだそうで、このハリアーとスカイホークは全部その飛行隊のようです。



 杉本さん作品。ハセガワ1/48 A-4Eスカイホーク。上の写真の作品もすべてハセガワ製品です。
 こういうツヤ消しも軍用機らしくてカッチョいい。

 この方の場合、他メーカーと比較するのではなくて、同じ部隊の別の機体を比較しています。
 作品カードには各機体のデータが書いてあるだけで、キットのどこが違ってるとかどこが苦労したとか何も書いていない男らしい展示。

 スカイホークが目をひくのは、まずは最近のロービジにはないカラーリングでしょうか、魅力的だよね。
 残念ながら作者とは話をしてませんが、海兵隊愛とハセガワ愛の融合を感じます。



 岡山未完成チームのTSAMさん作品。モノグラム1/48 A-4Eスカイホーク。
 この方は何機も並べていたわけではありませんけどA-4Eなので。

 ハセガワみたいな繊細なスジ彫り表現ではないけれど、何かこう存在感があってカッチョエエではありませんか。
 いい意味でマンガ的というか。マンガをバカにしてるわけではありません、絵の描き方のひとつのテクニックという意味です。

 ううーむ、何となくモノグラムの良さが私にもわかりかけてきたような気がする。



 土佐模型クラブの小松さん作品。たぶんハセガワ? 1/48 A-4Eスカイホーク。

 この方は、あべさんオススメの綺麗な作風で、見ていると心が洗われるようです。
 きっと作業机の上とか綺麗にしてるんだろうなぁ・・・。脱いだあとの服もきちんと畳むかもしれない。
 綺麗好き、というのは色々なところに出てしまうものです。
 かくありたい、と思うけれど、人生も模型部屋も片付けられない私。だめじゃん。

 同作品。

 綺麗に作ってる作品は細部を拡大しても全然平気というか、より一層綺麗で、ため息。

 この方の作品はほかにも後でご紹介します。



 銀翼会の中川さん作品。ハセガワ1/48 A-4Eスカイホーク。

 中川さんもマーキング違いで二機作っていて、もう一機はツヤ消し、こちらはツヤあり。
 やはり中川さんらしいツヤのある機体が格好いいと感じた。岩国のジェット機の爆音を子守唄にして育った人だから。

 実は、隣の部屋からずっと写真を撮っていて、こちらのテーブルまでようやくたどり着いたときには、もう終了寸前。
 嗚呼。なんと楽しい時間は短いのでしょう。なんと作品機数が多いのでしょう。

 どうしても「九州のモデラーの作品は後回し」になってしまった(また後日展示会で見られるかも、と思って)。悲しいけどそういうふうに割り切っていかないと見て回るのが難しかったんですよ。
 ムスタングを並べている男共を発見。

 日本機はどうしても地味になってしまうけど、ムスタングは派手で並べ甲斐があるのかも。
 去年、私も初めてP-51を作って、すっかり虜になってしまった。自分の作った機体は目につきますよね。



 静岡コクピットの会の森さん作品。タミヤ1/48 P-51B ムスタング。

 マーキングは塗装。しっとりと馴染んでしかもジオラマなので、いい雰囲気。
 やはりタミヤはスジ彫がハセガワよりははっきりしている感じ。そこは好みですが。

 飛行機はジオラマにしにくい、と言うけれど、逆に言うと、こんなふうにパイロットをそばに置くだけで(建物などはなくても)絵になる、という意味では簡単かもしれない。ぬかるみの道を作ったり木の枝を作る必要もない・・・とはいっても、なかなかその人形すら面倒がって作らないんだけど。
 鉄十字をつけると、何となく「マジメ」そうに見えるのが不思議。

 そういえば、初めて神戸のUAMC(2006年)に参加したとき、マーキングを塗装でしている人が多いのに圧倒されたなあ・・・飛行機モデラー業界では、アンテナ線とかマーキングは塗装とかエンジンパイピングとか凸線彫り直しとか、そんなの当たり前の風潮があって、心底ビビリました。

 今回もファインモールドの鈴木社長が「ここにいる人はみんな職人なんだよ」と言っていたのが印象的だった。

 さてこちらにももう一人・・・ムスタングがいろいろ。上記の森さんの作品もそうですが、どれもみんな綺麗に作ってある。



 徳島モデラーズ倶楽部の横田さん作品。モノグラム1/48 P-51B ムスタング。

 少しくたびれた感じに汚した機体がかっちょいい。機首の穴から出たオイルで汚れてたり、オリーブドラブの剥げかけた雰囲気。
 B型もいいなあ~作ってみたい。そして、これがモノグラムなのか。ううむ。

 ほかにはニチモやフジミも作っています。



 同じ方の作品。ハセガワ1/48 P-51D ムスタング。

 “ミス アメリカ”ピカピカのレーサー機。
 米国人は、星条旗を色んな身の回りのものにデザインするのが好きだよね。日本では考えられない(日の丸だもん・・・右翼か!?とか思われちゃう。でも自分の国の国旗をそんなふうにしか思えない国って哀しいね)

 うーん、綺麗で強くて完璧、それがムスタング。



 明石模型クラブの山田さん作品。タミヤ1/48 P-51D ムスタング。チャック・イエーガー乗機。

 チャック・イエーガーさんてテストパイロットだよね? 大戦中はムスタングのパイロットだったってこと?
 へぇ~そうだったんだ~。

 明石模型クラブの山田さんには、三月に「むなかた模型作品展示会」のお誘いを受けた。むなかた、というのは福岡県宗像市のこと。詳しくは、「むなかた模型作品展示会」で検索してみてください。フェイスブックのページがあるようです。
 明石プラモデル甲子園という催しを聞いたことがある人もいるのでは? 特徴としては入場者による人気投票があるということで、そのおかげでとても盛り上がるらしい。参加は誰でもオッケーだと思います。

 作品を出して並べているところ。左隣の人はいまだ到着せず・・・会場配置図を見て予感的中、げげっ、徳島まで来てあべさんの隣かい!? 浅からぬ因縁の「宿敵・あべ」なのだった・・・(ごめんね>あべさん)

 ムスタング(ハセガワ1/32)は右側の増槽は落下してるわ、スピナの先端に「ハゲ」が出来てるわ(汗 あべさんのタタリか!?
 「円形脱毛症かよ(笑)」と笑われましたが、「飛行機の塗装は先端部分が一番に剥がれてくるんだよ、だから実機ぽくていいよ」と慰めてくれる人もあり。

 会場は恐らく白い布が敷いてあるだろうと推測したので、黒い布を持参した。銀塗装(ムスタングと飛燕)には背景が黒いほうが映えるから。
 それと、自分のプロフィールを簡単に書いたものを写真立てに入れて展示。女の名前を見て「コイツ何者だ」と思う人もいるだろうから。

 自分の作品を出して並べるのにも数十分を要する。というか、単に要領が悪くて遅いだけですが・・・帰りも、ほかの参加者はさっさと撤収するのに私は最後まで取り残され冷や汗・・・やはり悪夢は再現されたのだった(徳島の方々は「ゆっくりしてくださいよ」と優しく言ってくれたけど)。

 いつものように、私がスケビに駄文(コラム)を書いているということを知っている方々から、声をかけてもらいました。読んでいただき、ありがとうございます。ブログやコラムを読んでますよ、と言われるのは本当に光栄です。
 もちろん作品を見てもらうのもうれしいし、ドキドキする。

 ただ、場数を踏んだせいか、以前みたいに緊張することはなくなった。むしろ、この場を楽しみたいという気持ちが先に立つ。自分は自分なんだから、ありのままを見てもらうしかない。そう思えるようになった。